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明けやらぬ寝覚めの床に聞こゆなり
籬の竹の雪の下折れ

歌の意味
まだ明けきらない夜の寝覚めの床に聞こえてくる。籬の竹が、積もった雪の重みで下折れする音が。
鑑賞
巻第六 冬歌 667

詞書「夜深聞雪といふことを」
 雪を詠む一連の十一首目である。まだ明けきらない寝覚めの床に、籬の竹が雪の重みで下折れする音が聞こえると詠む。詞書によれば、「夜深聞雪」の題で詠まれた歌である。
 作者は刑部卿を務めた平安時代後期の歌人で、歌学書『和歌童蒙抄』を著した。
 場面は夜明け前、場所は籬のある住まいの寝所である。
 直接の契機は「夜深聞雪」(夜深く雪を聞く)の題による詠である。

 初句「明けやらぬ」は、まだ明けきらない、の意で、「やら」は、すっかり…しきる意を添え、「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形である。
 二句「寝覚めの床に」は、夜中に目覚めた寝床に、の意である。
 三句「聞こゆなり」は、聞こえてくる、の意で、「なり」は音によって推し量る伝聞推定の助動詞である。ここで切れる三句切れで、下の句とは倒置の関係になる。
 四句「籬の竹の」は、竹や柴で編んだ垣に植えた竹の、の意である。
 結句「雪の下折れ」は体言止めで、積もった雪の重みで枝や幹が折れることをいう。暗くて見えない雪を、竹の折れる音によって知る構成で、題の「夜深聞雪」を、音によって雪の深さを捉える形で詠んでいる。前歌が袂の冷たさで遠い白山の雪を推し量ったのに対し、この歌は竹の折れる音で身近な庭の雪の深さを知っており、寒さと音という異なる感覚で夜の雪を捉える二首が並べられている。

あけやる:すっかり夜が明ける
まがき:竹や柴などを粗く編んだ垣
したをれ:雪などの重みで、枝や幹が折れること
作者
藤原範兼
出典
新古今和歌集
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