尋ね来て道分けわぶる人もあらじ
幾重も積もれ庭の白雪
- 歌の意味
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訪ねて来て、雪の道を分けかねて難儀する人もいないだろう。幾重にも積もるがよい、庭の白雪よ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 682
詞書「雪の朝、大原にてよみ侍りける」
雪を詠む一連の二十六首目である。訪ねて来て雪の道に難儀する人もいないのだから、庭の白雪よ幾重にも積もれと詠む。詞書によれば、雪の朝に大原で詠んだ歌である。
作者は俗名を藤原頼業といい、出家して大原に住み、兄の寂念、寂超とともに大原の三寂と呼ばれた。
場面は雪の朝、場所は山城国の大原の住まいである。
直接の契機は、隠棲していた大原で雪の朝を迎えたことである。
初句「尋ね来て」は、訪ねて来て、の意である。
二句「道分けわぶる」は、雪の道を分けて進みかねて困る、の意で、「わぶ」は、しかねる、困る意を添える。
三句「人もあらじ」は、そのような人もいないだろう、の意で、「じ」は打消推量の助動詞である。六音の字余りで、ここで切れる三句切れである。
四句「幾重も積もれ」は、幾重にも積もるがよい、の意で、「積もれ」は命令形である。
結句「庭の白雪」は、庭の白雪に呼びかけて結ぶ体言止めである。訪れる人のない隠棲の身には、雪が人の道を閉ざすことを気にかける必要もないとして、かえって雪の積もることを願う隠者の心を詠んでいる。本巻の第六百七十八首が雪の積もらぬ先に訪ねる人を願ったのに対し、この歌は訪れる人もないのだから幾重にも積もれと命じており、雪の積もることを惜しむ心と求める心とが対になっている。前歌の訪れの望みを打ち消した歌を受け、訪れのないことを受け入れる心へと進んでいる。
みちわく:道を分けて進む
わぶ:しかねる、困る
- 作者
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寂然
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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