隔てゆく世々の面影かき暗し
雪とふりぬる年の暮かな
- 歌の意味
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年ごとに遠く隔たってゆく過ぎた世々の面影は、涙にかき暗されて、雪のように降り積もり、古びてしまった年の暮れであることよ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 693
詞書は前の歌に続き「年の暮によみ侍りける」
歳暮を詠む一連の三首目である。年ごとに隔たってゆく過ぎた世々の面影がかき暗され、雪のように降り積もって古びてしまった年の暮れを詠む。詞書は前歌から続き、年の暮れに詠んだ歌である。
作者は藤原俊成の孫にあたり、俊成の養女となった。源通具の妻となり、後鳥羽院の歌壇で活躍した。
場面は雪の降る年の暮れ、場所は明示されていない。
直接の契機は、年の暮れに当たっての詠である。
初句「隔てゆく」は、年ごとに遠く隔たってゆく、の意である。
二句「世々の面影」は、過ぎ去った幾年もの間に見た人や出来事の面影をいう。
三句「かき暗し」は、暗くして見えなくし、の意で、「かき」は語調を強める接頭語である。涙や降る雪に面影がかき暗されることをいう。
四句「雪とふりぬる」の「ふり」には、雪が「降り」の意と、年を経て「古り」の意が掛けられている。雪のように降り積もって古びてしまった、の意である。
結句「年の暮かな」は、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。過ぎた年々の面影が、降る雪にかき暗されるように遠のき、雪が積もるように古びてゆくという、時の隔たりと雪の景とを重ねた歌である。前歌が去りゆく年を慕う心を理屈で詠んだのに対し、この歌は過ぎた年々の面影を雪の景に託して詠んでいる。本巻の第六百七十六首が「ふりぬ」の掛詞で雪と老いを重ねたのと同じく、「ふる」の掛詞によって雪と時の経過が重ねられている。
おもかげ:心に浮かぶ姿、記憶に残る面影
かきくらす:暗くして見えなくする
ふる:雪が降る意と、年を経て古びる意を掛ける
- 作者
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俊成卿女
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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