昔思ふ庭にうき木を積み置きて
見し世にも似ぬ年の暮かな
- 歌の意味
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昔を思い出させる庭に、うき木を積み置いて、かつて見た世とは似ても似つかない年の暮れであることよ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 697
詞書「題しらず」
歳暮を詠む一連の七首目である。昔を思い出させる庭にうき木を積み置いて迎える年の暮れは、かつての世とは似ても似つかないと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが、二十三歳で出家して諸国を旅し、家集『山家集』を残した。
場面は年の暮れ、場所は作者の住まいの庭である。
直接の契機は伝わらない。
初句「昔思ふ」は、昔を思い出させる、の意で、二句の「庭」にかかる。六音の字余りである。
二句「庭にうき木を」の「うき木」は、水に浮かぶ木、流木をいい、年の暮れに備える薪を指す。「うき」には、「浮き」の意と、つらい意の「憂き」が掛けられている。
三句「積み置きて」は、積んで置いて、の意である。
四句「見し世にも似ぬ」は、かつて見た世とは似ていない、の意で、「し」は過去の助動詞「き」の連体形である。
結句「年の暮かな」は、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。昔を偲ぶ庭に、つらさを思わせる木を積んで迎える年の暮れは、出家前の華やかな世の年の暮れとは全く異なるという感慨を詠んでいる。前歌の老いの極みの年の暮れに続き、世を捨てた身の年の暮れを詠み、過去の世との隔たりを示している。
うきぎ:水に浮かぶ木、流木で、「うき」に浮きの意と憂きの意を掛ける
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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