石上布留野の小笹霜を経て
ひとよばかりに残る年かな
- 歌の意味
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石上の布留野の小笹が幾夜も霜を経てきたように、年もあと一夜ばかりに残るだけとなったことよ。
- 鑑賞
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巻第六 冬歌 698
詞書は前の歌に続き「題しらず」
歳暮を詠む一連の八首目である。石上の布留野の小笹が幾夜も霜を経てきたように、年もあと一夜を残すばかりとなったと詠む。詞書は前歌から続き題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は関白九条兼実の子で、摂政太政大臣に至り、『新古今和歌集』の仮名序を執筆した。
場面は大晦日の前夜、場所は大和国の石上の布留野である。
直接の契機は伝わらない。
初句「石上」は、「布留」にかかる枕詞で、大和国の地名でもある。
二句「布留野の小笹」は、石上の布留の野に生える小笹をいう。布留は今の奈良県天理市のあたりである。
三句「霜を経て」は、霜の置く夜々を経て、の意である。笹が幾夜も霜にさらされてきたように、一年の日々を経てきたことを示す。
四句「ひとよばかりに」の「ひとよ」には、「一夜」の意と、竹や笹の節と節の間をいう「一節」の意が掛けられている。「一節」は二句の「小笹」の縁語である。
結句「残る年かな」は、残る年であることよ、の意で、詠嘆の終助詞「かな」で結ぶ。笹の節の一節を残すように、年の暮れがあと一夜を残すばかりとなった大晦日の前夜の感慨を、布留野の霜の小笹の景に託して詠んでいる。本巻の第六百六十首で初雪に埋もれた布留の神杉と同じ布留の地が、ここでは年の果ての霜の小笹として詠まれており、冬の巻の中で布留の景が時の推移を示している。
いそのかみ:布留にかかる枕詞、また大和国の地名
をざさ:丈の低い笹
ひとよ:「一夜」の意と、笹の「一節」の意を掛ける
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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