高き屋に登りて見れば煙立つ
民のかまどはにぎはひにけり
- 歌の意味
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高い建物に登って見わたすと、煙が立ちのぼっている。民のかまどは豊かに栄えていることだ。
- 鑑賞
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巻第七 賀歌 707
詞書「貢物許されて国富めるを御覧じて」
『新古今和歌集』賀歌の巻頭歌である。高殿から見わたすと民家のかまどから煙が立ちのぼり、民の暮らしが豊かになったことを喜ぶ。詞書によれば、貢物、すなわち租税を免じたのち、国が富んだありさまを御覧になって詠んだ歌である。
作者は第十六代の天皇とされる。応神天皇の子で、難波の高津宮に都を置いたと伝えられる。
場面は仁徳天皇の治世、課役を免じて国が富んだのち、場所は難波の高津宮の高殿である。
直接の契機は、『日本書紀』の伝える事績である。天皇は高台に登って民家から煙が立たないのを見て民の困窮を知り、三年のあいだ課役を免じた。のちに再び高台に登ると、煙が盛んに立ちのぼっていたという。
『和漢朗詠集』にも収められる。延喜六年(906)の日本紀竟宴和歌には、藤原時平の「高殿に登りて見れば天の下四方に煙りて今ぞ富みぬる」という似た歌がある。
初句「高き屋に」は、高い建物に、の意である。高殿を指し、国のありさまを見わたす場所が示される。
二句「登りて見れば」は、登って見ると、の意である。「ば」は已然形に付いて、見たところ、という確定条件を表す。高所から国土を見わたす国見の形をとる。
三句「煙立つ」で意味がいったん切れる三句切れである。煙はかまどで煮炊きする炊煙で、立ちのぼる煙の多さが民の暮らしのしるしとなる。
四句「民のかまどは」は、民の家々のかまどは、の意である。天皇のまなざしが民の暮らしへと向けられる。
結句「にぎはひにけり」の「にけり」は、完了の「ぬ」と詠嘆の「けり」で、豊かになったことだ、と改めて気づいた感動を表す。為政者が民の豊かさを喜ぶ歌を巻頭に置き、賀歌の巻は徳による治世を寿ぐことから始まる。
みつぎもの:租税として朝廷に納める物
たかきや:高い建物。高殿
にぎはふ:豊かに栄える
- 作者
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仁徳天皇
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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