子の日して標めつる野辺の姫小松
引かでや千代の蔭を待たまし
- 歌の意味
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子の日の遊びをして、標を結って自分のものと定めた野辺の姫小松よ。引き抜かずに、千年ののちの木陰となるのを待とうか。
- 鑑賞
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巻第七 賀歌 709
詞書「子日をよめる」
正月の初子の日を詠む一連の二首目である。子の日に標を結った野辺の姫小松を引き抜かず、千年の蔭となるのを待とうかと詠む。詞書によれば子の日を題として詠まれた。
作者は中納言藤原兼輔の子で、紀伊守などを務めた。三十六歌仙の一人である。
場面は正月の子の日、場所は小松の生える野辺である。
直接の契機は「子日」の題による詠である。
子の日の遊びは、正月最初の子の日に野に出て小松を引き、若菜を摘んで長寿を祝う行事である。
初句「子の日して」は、子の日の遊びをして、の意である。前歌の第七百八首の「初子の今日」を受けて、子の日の行事が続く。
二句「標めつる野辺の」の「標む」は、標を結って自分の領分と定めることである。「つる」は完了の助動詞で、すでに標を結った野辺であることを示す。
三句「姫小松」は、小さな松である。子の日に引く小松で、その幼い姿が千代の蔭との対比を生む。
四句「引かでや千代の」の「引かで」は、引き抜かないで、の意で、「や」は疑問を表す。子の日には小松を引くのが習いであるが、その約束事にあえて逆らう趣向である。「千代の」は結句の「蔭」に続く。
結句「蔭を待たまし」の「まし」は、ためらいを含んだ意志を表し、待つことにしようか、の意である。小さな松が千代を経て大木となり木陰をなすまでを待つといい、一日の行事を千年の尺度へと引き延ばして祝意とする。
ねのひ:正月最初の子の日。野に出て小松を引き、若菜を摘む
しむ:標を結って自分の領分と定める
ひめこまつ:小さな松
ひく:小松を根ごと引き抜く
- 作者
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藤原清正
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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