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木綿襷千歳をかけてあしひきの
山藍の色は変はらざりけり

歌の意味
木綿襷を掛けるように千年にわたって、山藍で摺り染めた色は変わらないことだ。
鑑賞
巻第七 賀歌 712

詞書「延喜御時屏風歌」
 神事の装いに寄せて祝う歌である。木綿襷を掛けるように千年にわたっても、山藍で染めた色は変わらないと詠む。詞書によれば、延喜の御代の屏風に添えた歌である。
 作者名は記されていないが、前歌に続き紀貫之の歌である。
 場面は時期を定めず、場所は延喜の御代の屏風絵の中である。
 直接の契機は、延喜の御代に調えられた屏風に添える歌である。
 延喜の御代は醍醐天皇の治世である。山藍は、神事に奉仕する人の着る小忌衣を青く摺り染めるのに用いられた草である。

 初句「木綿襷」は、楮の繊維で作った木綿の襷で、神事の際に掛ける。「掛く」にかかる枕詞として働く。
 二句「千歳をかけて」の「かけて」は、千年にわたって、の意である。初句の「木綿襷」を受けて襷を掛ける意も響き、祝いの時の長さと神事の装いが結び付く。
 三句「あしひきの」は、「山」にかかる枕詞である。
 四句「山藍の色は」は、山藍で摺り染めた色は、の意である。神事の衣の青い色が示される。
 結句「変はらざりけり」の「けり」は詠嘆で、変わらないことだ、と気づいた感動を表す。枕詞を二つ含む一首で、神事の衣の色の不変に千年の祝意を託す。本巻の第七百十五首の「変はらぬ色」、第七百十六首の「色は変はらず」も、変わらない色に長久を見る趣向で続く。

ゆふだすき:楮の繊維で作った木綿の襷。神事の際に掛ける
やまあゐ:山地に生える草。葉を摺り染めに用い、神事の衣を青く染める
をみごろも:神事に奉仕する人が着る、山藍で文様を摺った白い衣
かく:ここでは長い年月にわたる意。襷を掛ける意も響く
作者
紀貫之
出典
新古今和歌集
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