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住の江の浜の真砂を踏む鶴は
久しき跡をとむるなりけり

歌の意味
住の江の浜の細かな砂を踏む鶴は、久しく残る跡をとどめているのであった。
鑑賞
巻第七 賀歌 714

詞書「七条の后の宮の五十賀屏風に」
 鶴に寄せて祝う歌である。住の江の浜の真砂を踏む鶴は、久しい跡をとどめているのだと詠む。詞書によれば、七条の后の宮の五十の賀の屏風に添えた歌である。
 作者は伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の中宮藤原温子に仕えた。三十六歌仙の一人である。
 場面は時期を定めず、場所は屏風絵に描かれた住の江の浜である。
 直接の契機は、五十の賀に際して調えられた屏風に添える歌である。
 「七条の后の宮」は藤原温子を指す呼称である。五十の賀は、五十歳を迎えた人の長寿を祝う算賀である。

 初句「住の江の」は、摂津国の歌枕である住の江の、の意である。住の江は今の大阪市住吉区のあたりの海辺で、住吉の神の鎮まる地として、松や浜とともに詠まれた。
 二句「浜の真砂を」は、浜の細かい砂を、の意である。本巻の第七百十首でも「浜の真砂」が君が代の年数に見立てられており、無数の砂が久しさのしるしとして共通する。
 三句「踏む鶴は」は、砂を踏んで歩む鶴は、の意である。千年の齢を保つとされる鶴が、屏風絵の浜に配される。
 四句「久しき跡を」は、長く残る跡を、の意である。浜の砂に残る鶴の足跡に、久しい年月のしるしが重ねられる。
 結句「とむるなりけり」の「とむ」は、跡を残しとどめる意である。「なりけり」は断定と詠嘆で、鶴が浜を歩むのは久しい跡をとどめるためであったのだと気づく理由付けの形をとる。長寿の鳥と数えきれない真砂を取り合わせ、五十の賀にふさわしい久しさを示す。

すみのえ:摂津国の歌枕。今の大阪市住吉区のあたりの海辺
まさご:細かい砂
たづ:鶴。歌語として用いる
とむ:跡を残しとどめる
さんが:長寿を祝う賀。四十歳から十年ごとに行う
作者
伊勢
出典
新古今和歌集
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