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神無月紅葉も知らぬ常磐木に
万代かかれ峰の白雲

歌の意味
十月になっても紅葉することを知らない常緑の木に、万代にわたってかかっていよ、峰の白雲よ。
鑑賞
巻第七 賀歌 720

詞書「貞信公家屏風に」
 冬の常磐木に寄せて祝う歌である。十月にも紅葉を知らない常磐木に、峰の白雲が万代にわたってかかっていよと詠む。詞書によれば、貞信公の家の屏風に添えた歌である。
 作者は清原深養父の孫で、清少納言の父である。『後撰和歌集』を撰進した梨壺の五人の一人で、肥後守などを務めた。
 場面は十月の初冬、場所は屏風絵に描かれた、常磐木の立つ峰である。
 直接の契機は、貞信公の家の屏風に添える歌である。
 貞信公は関白太政大臣藤原忠平の諡号である。

 初句「神無月」は陰暦十月である。冬の初めで木々の紅葉が散るころを示し、本巻の配列は秋の菊から冬へと移る。
 二句「紅葉も知らぬ」は、紅葉することも知らない、の意である。十月にも紅葉しない木であることを、「知らぬ」と擬人化して言う。
 三句「常磐木に」は、一年中葉の色の変わらない木に、の意である。本巻の第七百十五首の竹、第七百十六首の松に続き、変わらない緑に長久を託す。
 四句「万代かかれ」は、万代にわたってかかっていよ、の意で、「かかれ」は命令形である。ここで意味が切れる四句切れである。
 結句「峰の白雲」は体言止めで、呼びかける相手を最後に置く倒置の形である。紅葉を知らない常磐木と、その上にかかる白雲を取り合わせ、移ろわない景に万代の祝意をこめる。

かみなづき:陰暦十月
ときはぎ:一年中葉の色が変わらない木
しがう:貴人の死後に贈る名
作者
清原元輔
出典
新古今和歌集
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