曇りなく千歳にすめる水の面に
宿れる月の影ものどけし
- 歌の意味
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曇りもなく、千年もの間澄みつづける池の水面に映っている月の光も、のどかであることだ。
- 鑑賞
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巻第七 賀歌 722
詞書「後一条院生まれさせ給へりける九月、月隈なかりける夜、大二条関白中将に侍りける、若き人々誘ひ出でて、池の舟に乗せて、中島の松蔭さしまはすほど、をかしく見え侍りければ」
澄んだ水や空の光に寄せて御代を祝う一連の一首目である。曇りなく千年も澄む池の水面に宿る月の光ものどかであると詠む。詞書によれば、後一条院が誕生した九月の月の明るい夜、当時中将であった大二条関白が若い人々を誘って池の舟に乗せ、中島の松陰を漕ぎ巡る様子が趣深く見えたので詠んだ歌である。
作者は藤原為時の娘で、一条天皇の中宮彰子に仕え、『源氏物語』を著した。
場面は後一条院が誕生した九月の月の明るい夜、場所は中島に松の立つ邸の池である。
直接の契機は、若い人々を乗せた舟が池の中島の松陰を巡る月夜の光景である。
「後一条院」は一条天皇の皇子敦成親王で、寛弘五年(1008)九月、藤原道長の土御門殿で誕生した。「大二条関白」は藤原道長の子の藤原教通である。
初句「曇りなく」は、曇りもなく、の意である。詞書の「月隈なかりける夜」を受けて澄みわたる月夜の明るさを示し、下の水の澄みとも響き合う。
二句「千歳にすめる」の「すめる」は、水が澄んでいる意と、千年も住み続ける意を掛けた掛詞である。誕生を祝う場で、その御代が千年続くことを思わせる。
三句「水の面に」は、池の水面に、の意で、六音の字余りである。
四句「宿れる月の」は、水面に映っている月の、の意である。「宿る」は月の光が水に映ることをいい、「る」は存続を表す。
結句「影ものどけし」の「影」は月の光である。「も」によって、池の水の澄みとともに月の光もまたのどかであることを示す。空と水の二つの澄明を重ねて、誕生した親王の長久の世を祝う。次歌の第七百二十三首も「すみぬれば」を掛詞とし、澄む池水に久しさを見る趣向が続く。
すむ:水が澄む意と、住む意を掛ける
やどる:月の光が水面に映る
さしまはす:棹をさして舟を巡らせる
- 作者
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紫式部
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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