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相生の小塩の山の小松原
今より千代の蔭を待たなん

歌の意味
ともに生い育つ小塩の山の小松原よ。今から千代の後に茂る木陰となる時を待ってほしい。
鑑賞
巻第七 賀歌 727

詞書「後冷泉院幼くおはしましける時、卯杖の松を人の子に賜はせけるによみ侍りける」
 小松を詠む一連の一首目である。ともに生い育つ小塩山の小松原よ、今から千代の木陰となるのを待ってほしいと詠む。詞書によれば、後冷泉院が幼かった時、卯杖の松を人の子に下賜した折に詠まれた。
 作者は藤原賢子で、紫式部の娘である。後冷泉天皇の乳母を務め、のち大宰大弐高階成章の妻となった。
 場面は正月の上の卯の日のころ、場所は幼い後冷泉院のもとである。
 直接の契機は、幼い後冷泉院が卯杖の松を人の子に下賜したことである。
 卯杖は、正月の上の卯の日に邪気払いのために献上された杖である。先例に『後撰和歌集』の紀貫之の歌「大原や小塩の山の小松原はや木高かれ千代の蔭見む」があり、小塩の山の小松原に千代の蔭を思う趣向が共通する。

 初句「相生の」は、ともに生え育つ、の意である。幼い後冷泉院と松を賜った子がともに育つことを、小松に重ねていると読める。
 二句「小塩の山の」は、山城国の小塩山の、の意である。小塩山は今の京都市西京区の大原野にあり、麓には藤原氏の氏神を祀る大原野神社がある。
 三句「小松原」は、小松の生える原である。次歌の第七百二十八首も同じ三句「小松原」を用い、小松の歌が続く。
 四句「今より千代の」は、今から千代の、の意で、結句の「蔭」に続く。幼い今から遠い将来までを一続きに見通す。
 結句「蔭を待たなん」の「なん」は、他に対する願望を表し、待ってほしい、の意である。本巻の第七百九首の結句「蔭を待たまし」と同じく千代の蔭を待つ歌であるが、第七百九首が自らためらう「まし」で結ぶのに対し、この歌は相手に望む「なん」で結ばれる。

うづゑ:正月の上の卯の日に、邪気払いのために献上する杖
めのと:貴人の子を養い育てる女性
あひおひ:ともに生え育つこと
をしほのやま:山城国の小塩山。今の京都市西京区の大原野にある
作者
藤原賢子
出典
新古今和歌集
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