古典和歌stream

君が代は久しかるべし度会や
五十鈴の川の流れ絶えせで

歌の意味
君の御代は久しく続くにちがいない。度会の五十鈴川の流れが絶えることのないように。
鑑賞
巻第七 賀歌 730

詞書「承暦二年内裏の歌合に祝の心を」
 伊勢の五十鈴川に寄せて祝う歌である。度会の五十鈴川の流れが絶えないように、君が代は久しく続くにちがいないと詠む。詞書によれば、承暦二年の内裏歌合で「祝」を題として詠まれた。
 作者は学者の家に生まれ、権中納言、大宰権帥を務め、江帥と呼ばれた。
 場面は時期を定めない祝いの景、場所は伊勢国度会の五十鈴川である。
 直接の契機は、承暦二年(1078)、白河天皇の内裏で催された歌合での「祝」の題による詠である。
 度会は伊勢国の郡名で、伊勢神宮の鎮座する地である。五十鈴川は伊勢神宮の内宮を流れる川で、御代の長久を象徴する川として詠まれた。

 初句「君が代は」は、君の御代は、の意である。祝いの主題を初めに掲げる。
 二句「久しかるべし」は、久しく続くにちがいない、の意で、「べし」は確信のある推量を表す。ここで意味が切れる二句切れで、下の句との倒置をなす。
 三句「度会や」の「や」は詠嘆の間投助詞である。伊勢神宮の地名を示し、神の加護を背景に置く。
 四句「五十鈴の川の」は、伊勢神宮の内宮を流れる五十鈴川の、の意である。
 結句「流れ絶えせで」は、流れが絶えることなく、の意である。先に「久しかるべし」と結論を述べ、その根拠として神域の川の絶えない流れを後に置く倒置で、神の川の永遠と御代の長久を重ねている。

わたらひ:伊勢国の郡名。伊勢神宮の鎮座する地
いすずがは:伊勢神宮の内宮を流れる川
たえす:絶える
作者
大江匡房
出典
新古今和歌集
その他の歌