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常磐なる松にかかれる苔なれば
年の緒長きしるべとぞ思ふ

歌の意味
常緑の松に垂れかかっている苔であるから、長く続く年月の道しるべと思うことだ。
鑑賞
巻第七 賀歌 731

詞書「題しらず」
 松にかかる苔に寄せて祝う歌である。常緑の松にかかる苔であるから、長い年月の道しるべと思うと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者名は伝わらない。
 場面は時期を定めない祝いの景、場所は苔の垂れかかる松の木のもとである。
 直接の契機は伝わらない。

 初句「常磐なる」は、常緑で変わらない、の意である。本巻の第七百二十首の「常磐木」、第七百二十六首の「常磐堅磐」に続き、変わらないものの語が重ねられる。
 二句「松にかかれる」は、松に垂れかかっている、の意で、「る」は存続を表す。
 三句「苔なれば」は、苔であるので、の意である。長い年月を経て松にかかる苔が、久しさのしるしとなる。
 四句「年の緒長き」は、年月の長く続く、の意である。本巻の第七百二十九首の「年の緒長く」と同じ語で、年月を緒にたとえる表現が重なる。
 結句「しるべとぞ思ふ」の「ぞ」は強意の係助詞で、連体形「思ふ」で結ぶ係り結びである。松の常緑に、さらに年を重ねた苔を加えて長い年月の道しるべとし、二重に久しさを示す。

しるべ:道案内。導き
としのを:年月が長く続くことを緒にたとえた語
作者
よみ人しらず
出典
新古今和歌集
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