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天の下めぐむ草木のめもはるに
限りも知らぬ御代の末々

歌の意味
天の下のすべてを恵み、芽ぐむ草木の芽が張るように、見わたす限りはるかに、限りも知らず続いてゆく御代の行く末よ。
鑑賞
巻第七 賀歌 734

詞書「百首歌たてまつりし時」
 春の草木の芽を詠む一連の一首目である。天の下に芽ぐむ草木の芽が張るように、はるかに限りも知らない御代の末々であると詠む。詞書によれば、百首歌を詠進した折の歌である。
 作者は後白河天皇の皇女で、賀茂の斎院を務めた。
 場面は草木の芽吹く春、場所は天の下、すなわち国土全体である。
 直接の契機は、正治二年(1200)に後鳥羽院が召した百首歌への詠進である。

 初句「天の下」は、この国土全体を指す。祝いの範囲を天下にまで広げる。
 二句「めぐむ草木の」の「めぐむ」は、草木が芽を出す「芽ぐむ」意と、天の下を「恵む」意を掛けた掛詞である。御代の恵みが草木の芽吹きに重ねられる。
 三句「めもはるに」は、芽が張る意の「芽も張る」と、見わたす限りはるかの意の「目も遥」を掛けた掛詞である。「はる」には「春」の響きもある。
 四句「限りも知らぬ」は、限りも知らない、の意である。芽吹きの広がりが、時の限りなさへと移される。前歌の第七百三十三首の「限りなければ」を受けて、限りない御代が続けて詠まれる。
 結句「御代の末々」は体言止めである。遠い将来までの御代をいい、目の前の春の芽吹きを遥かな未来へと押し広げる。次歌の第七百三十五首も「このめも春の」と木の芽を詠み、芽吹きの歌が続く。

めぐむ:芽を出す意と、恵む意を掛ける
めもはる:芽も張る意と、目も遥かの意を掛ける
すゑずゑ:遠い将来
さいゐん:賀茂神社に奉仕した未婚の皇女
作者
式子内親王
出典
新古今和歌集
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