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おしなべて木の芽もはるの浅緑
松にぞ千代の色はこもれる

歌の意味
どの木も一様に、芽が張る春の浅緑であるが、松にこそ千代の色はこもっているのだ。
鑑賞
巻第七 賀歌 735

詞書「京極殿にて初めて人々歌つかうまつりしに、松有春色といふ事をよみ侍りし」
 春の草木の芽を詠む一連の二首目である。どの木の芽も一様に春の浅緑であるが、松にこそ千代の色がこもっていると詠む。詞書によれば、京極殿で初めて人々が歌を詠進した折に「松有春色」を題として詠まれた。
 作者は藤原良経で、九条兼実の子である。摂政太政大臣に至り、『新古今和歌集』の仮名序を書いた。
 場面は木々の芽吹く春、場所は京極殿である。
 直接の契機は、京極殿で初めて催された歌会での「松有春色」、すなわち松に春の色あり、という題による詠である。

 初句「おしなべて」は、一様に、すべて、の意である。本巻の第七百四十七首も同じ語を三句に用い、松の色を詠む点でも対応する。
 二句「木の芽もはるの」の「はる」は、木の芽が張る意と、季節の「春」を掛けた掛詞である。前歌の第七百三十四首の「めもはるに」と同じ掛詞を受け、芽吹きの歌が二首続く。
 三句「浅緑」は、薄い緑色である。芽吹いたばかりの若葉の色で、ここで意味がいったん切れる。
 四句「松にぞ千代の」の「ぞ」は強意の係助詞である。どの木も浅緑であるなかで、松にこそ、と際立たせる。
 結句「色はこもれる」は、色がこもっている、の意で、存続の「り」の連体形「る」で係り結びを結ぶ。題の「松に春の色あり」を、若葉の浅緑と松の千代の緑との対比で詠み分ける。本巻の第七百二十五首の「数ぞこもれる」と同じ結びの形である。

はる:芽が張る意と、春の意を掛ける
あさみどり:薄い緑色
こもる:中に含まれている
作者
藤原良経
出典
新古今和歌集
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