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年経たる宇治の橋守こと問はん
幾代になりぬ水の水上

歌の意味
年を経た宇治の橋守に尋ねよう。幾代になったのか、この川の水の水上は。
鑑賞
巻第七 賀歌 743

詞書「嘉応元年入道前関白太政大臣宇治にて河水久澄といふ事を人々によませ侍りけるに」
 宇治を詠む一連の二首目である。年を経た宇治の橋守に、この水の水上は幾代になったのかと尋ねようと詠む。詞書によれば、嘉応元年、入道前関白太政大臣が宇治で「河水久澄」を題として人々に歌を詠ませた折の歌である。
 作者は藤原顕輔の子で、六条藤家の歌人として歌学書『袋草紙』などを著した。
 場面は嘉応元年の宇治での歌会、場所は宇治川に架かる宇治橋のほとりである。
 直接の契機は、嘉応元年(1169)、宇治で催された歌会での「河水久澄」、すなわち河の水が久しく澄む、という題による詠である。詞書の「入道前関白太政大臣」は、前歌の詞書と同じ呼称で記されている。
 本歌は『古今和歌集』のよみ人しらずの歌「ちはやぶる宇治の橋守汝をしぞあはれとは思ふ年の経ぬれば」である。

 初句「年経たる」は、年を経た、の意である。本歌の「年の経ぬれば」を受け、長い年月を橋のほとりで過ごした橋守の姿を示す。
 二句「宇治の橋守」は、宇治橋を守る番人である。前歌の第七百四十二首の「宇治の橋姫」と対になり、橋姫と橋守の二首が並ぶ。
 三句「こと問はん」は、尋ねよう、の意で、「ん」は意志を表す。ここで意味が切れる三句切れである。
 四句「幾代になりぬ」は、幾代になったのか、の意の問いである。問いの内容が、三句の「こと問はん」の後に置かれる。
 結句「水の水上」は体言止めで、「水」を重ねて調べを整える。題の「河水久澄」を受け、澄んで流れ続ける宇治川の源の久しさを、年を経た橋守に問う形で示す。

はしもり:橋の番人
ことどふ:尋ねる。問いかける
みなかみ:川の源
作者
藤原清輔
出典
新古今和歌集
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