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立ち寄れば涼しかりけり水鳥の
青羽の山の松の夕風

歌の意味
立ち寄ってみると涼しいことだ。青羽の山の松に吹く夕風は。
鑑賞
巻第七 賀歌 755

詞書「建久九年大嘗会悠紀歌青羽山」
 大嘗会の歌の一連の九首目である。立ち寄ると涼しいことだ、青羽の山の松に吹く夕風はと詠む。詞書によれば、建久九年の大嘗会で悠紀の国の歌として、青羽山を詠んだ歌である。
 作者は藤原永範の子で、文章博士、式部大輔を務めた。
 場面は夏の夕暮れ、場所は悠紀の国の青羽山である。
 直接の契機は、建久九年(1198)、土御門天皇の大嘗会で悠紀の国の地名を詠んだことである。

 初句「立ち寄れば」は、立ち寄ると、の意で、「ば」は已然形に付いて確定条件を表す。
 二句「涼しかりけり」の「けり」は詠嘆で、涼しいことだ、と気づいた感動を表す。ここで意味が切れる二句切れで、下の句との倒置をなす。
 三句「水鳥の」は、「青羽」にかかる枕詞である。水鳥の羽の青い色から、青羽の地名を導く。
 四句「青羽の山の」は、悠紀の国の地名である青羽山の、の意である。
 結句「松の夕風」は体言止めである。涼しさのもとを最後に明かす倒置で、松に吹く夕風が示される。祝いの語を用いず、常緑の松と清涼な風によって国土の穏やかさを示す。次歌の第七百五十六首は同じ大嘗会の主基の国の歌で、悠紀と主基の二首が並ぶ。

ゆき:大嘗会で新穀を献じる二国のうち、東の国
作者
藤原光範
出典
新古今和歌集
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