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さもこそは同じ袂の色ならめ
変はらぬねをもかけてけるかな

歌の意味
いかにもそのとおり、あなたと私は同じ袂の色なのであろう。変わることのない根、変わらずに泣く音をも、ともに袂に掛けていることだ。
鑑賞
巻第八 哀傷歌 772

詞書「返し」
 夏の景物に故人をしのぶ一連の五首目で、前歌への返しである。いかにも同じ袂の色なのであろう、変わらずに泣く音をも掛けていることだと、九条院の嘆きに寄り添って応える。詞書は返しで、前歌の九条院の贈歌に答えたものである。
 作者は関白藤原忠通の娘で、崇徳天皇の中宮となり、のち院号を受けて皇嘉門院と呼ばれた。近衛天皇を養子として育てた。
 場面は前歌と同じ近衛天皇崩御の後の五月五日、場所は記されていない。
 直接の契機は、九条院から奉られた前歌への返しである。

 初句「さもこそは」は、いかにもそのように、の意である。「こそ」は強意の係助詞で、三句の「め」と已然形で結ぶ。
 二句「同じ袂の」は、前歌の「袂には」を受ける。ともに近衛天皇を悼む身として、九条院と自分の袂は同じであるという。
 三句「色ならめ」の「め」は推量の助動詞「む」の已然形で、初句の「こそ」を受けて結ぶ。ここで三句切れとなる。
 四句「変はらぬねをも」の「ね」は、菖蒲の「根」と泣く「音」を掛ける掛詞である。前歌の「ひきたがへたる」に「変はらぬ」を対させ、袂の姿は変わっても、昔を恋うて泣く音は変わらないと応じる。
 結句「かけてけるかな」の「かな」は詠嘆である。前歌の結句「ねぞかかりける」の「かかり」を「かけ」で受け、贈歌の語をそのまま取り込んで返している。前々歌の第七百七十首から続いた端午の菖蒲と「ね」の趣向はこの贈答で閉じ、夏の景物に故人をしのぶ一連が結ばれる。

ね:菖蒲の根の意と、泣く声の意の音を掛ける
たもと:袖
作者
藤原聖子
出典
新古今和歌集
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