ひとりにもあらぬ思ひはなき人も
旅の空にや悲しかるらん
- 歌の意味
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ひとりだけのものではないこの嘆きは、残された者だけでなく、亡くなった人もまた、死出の旅の空で悲しく思っているのであろうか。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 774
詞書「返し」
妻を亡くした悲しみを詠み交わす一連の二首目で、前歌への返しである。嘆きはひとりのものではなく、亡くなった人もまた旅の空で悲しんでいるのであろうかと応える。詞書は返しで、前歌の実資の贈歌に答えたものである。
作者は藤原雅正の子で、藤原兼輔の孫にあたり、紫式部の伯父である。家集『為頼集』がある。
場面は作者が妻を亡くしたころ、場所は記されていない。
直接の契機は、実資から贈られた前歌への返しである。
初句「ひとりにも」は、前歌の結句「ひとつならねば」を受け、「ひとつ」を「ひとり」と言い換えて応じる語である。
二句「あらぬ思ひは」は、ひとりだけのものではない嘆きは、の意である。前歌の四句「誰も思ひの」の「思ひ」をそのまま受けている。
三句「なき人も」の「も」は、残された者だけでなく亡くなった人もまた、の意を添える。嘆きを分かち合う相手を、生きている者どうしから亡き人にまで広げる。
四句「旅の空にや」の「旅の空」は、ここでは死出の旅の途上をいう。「や」は疑問の係助詞で、結句の「らん」で結ばれる。
結句「悲しかるらん」の「らん」は現在推量で、四句の「や」を受け、悲しんでいるのであろうか、と結ぶ。前歌が残された二人の心の通い合いを詠んだのに対し、この歌は亡き人の側にも同じ悲しみを思いやり、贈答の二首で、残された者と去った者の嘆きが対をなしている。
たびのそら:旅の途上、ここでは死出の旅路
- 作者
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藤原為頼
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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