別れけん名残の袖も乾かぬに
置きや添ふらん秋の夕露
- 歌の意味
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お子と別れたであろう名残の涙で、袖もまだ乾かないのに、そこへさらに秋の夕露が置き加わっているのであろうか。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 780
詞書「秋のころ、幼き子に後れたる人に」
秋の景物に故人をしのぶ一連の六首目で、贈答の贈歌である。子と別れた名残の涙で袖も乾かないうえに、秋の夕露が置き加わっているのであろうかと、子を亡くした人を思いやる。詞書によれば、秋のころ、幼い子に先立たれた人に贈った歌である。
作者は藤原宣孝と紫式部の娘で、後冷泉天皇の乳母となり、大宰大弐高階成章の妻となった。
場面は秋の夕暮れ、場所は記されていない。
直接の契機は、幼い子に先立たれた人を見舞ったことである。
初句「別れけん」の「けん」は過去推量で、相手が子と別れたであろう、の意である。相手の身の上を思いやる言い方である。
二句「名残の袖も」の「名残」は、別れた後に残る思いである。子との別れの悲しみが、袖を濡らす涙として残っていることをいう。
三句「乾かぬに」の「に」は、…のに、の意で、乾かない袖にさらに露が加わる四句へと続ける。
四句「置きや添ふらん」の「や」は疑問の係助詞で、「らん」と連体形で結ぶ。涙に濡れた袖に、さらに露が置き加わっているのであろうか、の意である。
結句「秋の夕露」は体言止めである。涙の上に夕露が重なり、悲しみが季節によって深まることをいう。前歌の第七百七十九首の「露の宿り」に続いて露を詠み、次歌の第七百八十一首は「置き添ふる露」と四句と結句を受けて返す。
おくる:人に死なれて後に残る
おきそふ:さらに置き加わる
- 作者
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藤原賢子
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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