- 歌の意味
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ほんのしばらくの間も、草葉の露も私の涙もとどまることがない。亡き人を恋い慕うこの家に吹く秋風のために。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 788
詞書「母身まかりにける秋、野分しける日、もと住み侍りける所にまかりて」
秋の景物に故人をしのぶ一連の十四首目である。ほんのしばらくの間も露も涙もとどまらず、亡き人を恋う家に秋風が吹くと詠む。詞書によれば、母が亡くなった年の秋、野分の吹いた日に、かつて住んでいた所へ出向いて詠んだ歌である。
作者は藤原俊成の子で、『新古今和歌集』の撰者の一人である。母は美福門院加賀で、建久四年(1193)二月に亡くなった。
場面は母の亡くなった年の秋の野分の日、場所はかつて住んでいた家である。
直接の契機は、野分の日に、かつて住んでいた家を訪れたことである。
野分は、秋に野の草を吹き分けるほど強く吹く風で、今の台風にあたる。
初句「玉ゆらの」の「玉ゆら」は、ほんのしばらくの間、の意である。「玉」は露の縁語で、二句の「露」を導く。
二句「露も涙も」は、草葉の露と自分の涙とを並べる。野分に吹き散らされる露に、とめどなく落ちる涙が重なる。
三句「とどまらず」は、とどまることがない、の意である。ここで三句切れとなる。
四句「亡き人恋ふる」は、亡き母を恋い慕う、の意で、結句の「宿」にかかる。
結句「宿の秋風」は体言止めである。野分の吹く家の秋風が、露も涙も吹き散らしてとどめない。前歌の第七百八十七首が露の消え果てた野辺を詠んだのに続き、ここではかつて住んだ宿に場が移る。同じ母の死は、本巻の第七百六十六首の詞書にも見え、春の暮から秋へと時が進んでいる。次歌の第七百八十九首も露と風を詠む。
のわき:秋に吹く強い風
たまゆら:ほんのしばらくの間
やど:住まい、家
- 作者
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藤原定家
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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