秋深き寝覚めにいかが思ひ出づる
はかなく見えし春の夜の夢
- 歌の意味
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秋の深まった夜の寝覚めに、どのように思い出していることか。はかなく見えた、あの春の夜の夢を。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 790
詞書「久我内大臣、春ころ失せて侍りける年の秋、土御門内大臣、中将に侍りける時遣はしける」
秋の景物に故人をしのぶ一連の十六首目で、贈答の贈歌である。秋の深い寝覚めに、はかなく見えた春の夜の夢をどのように思い出しているかと問う。詞書によれば、久我内大臣が春に亡くなった年の秋に、その子の土御門内大臣がまだ中将であったころに贈った歌である。
作者は藤原信成の娘で、後白河天皇の皇女殷富門院亮子内親王に仕えた女房歌人である。「久我内大臣」は源雅通で、内大臣に至った。「土御門内大臣」は雅通の子の源通親で、のち内大臣に至り、後鳥羽院の近臣として重きをなした。
場面は雅通が亡くなった年の秋、場所は記されていない。
直接の契機は、父を亡くした通親を見舞ったことである。
初句「秋深き」は、秋の深まった、の意で、二句の「寝覚め」にかかる。
二句「寝覚めにいかが」の「いかが」は、どのように、の意の疑問の語で、三句の「思ひ出づる」と連体形で結ぶ。
三句「思ひ出づる」は、思い出しているのか、の意である。ここで三句切れとなり、倒置によって、何を思い出すかが下の句に置かれる。
四句「はかなく見えし」は、はかなく見えた、の意である。「し」は過去で、春の出来事を振り返る。
結句「春の夜の夢」は体言止めである。春に亡くなった雅通のことを、短くはかない春の夜の夢にたとえる。初句の「秋」と結句の「春」が対をなし、春の死別を秋の寝覚めに思い出す構図となる。次歌の第七百九十一首は、この「夢」と「寝覚め」を受けて返す。
うす:亡くなる
ねざめ:夜中に目を覚ますこと
- 作者
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殷富門院大輔
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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