馴れし秋の更けし夜床はそれながら
心の底の夢ぞ悲しき
- 歌の意味
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馴れ親しんで過ごした秋の、夜更けの寝床は昔のままであるのに、心の底に残るあの夢こそが悲しい。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 792
詞書「忍びて物申しける女身まかりてのち、その家に泊まりて詠み侍りける」
秋の景物に故人をしのぶ一連の十八首目である。馴れ親しんだ秋の夜更けの寝床はそのままであるのに、心の底に残る夢が悲しいと詠む。詞書によれば、人目を忍んで情を通わせていた女が亡くなった後、その家に泊まって詠んだ歌である。
作者は右大臣藤原公能の子で、藤原実定の弟にあたり、大納言に至った。
場面は女が亡くなった後の秋の夜更け、場所はその女の家である。
直接の契機は、亡くなった女の家に泊まったことである。
初句「馴れし秋の」は、馴れ親しんで過ごした秋の、の意である。六音の字余りである。
二句「更けし夜床は」の「夜床」は、夜の寝床である。女と共に夜更けまで過ごした寝床をいう。
三句「それながら」は、そのままで、の意である。寝床は昔のままであるのに、そこにいた人はもういない。
四句「心の底の」は、心の奥深くの、の意で、結句の「夢」にかかる。目に見える寝床に対して、心の内を示す。
結句「夢ぞ悲しき」の「ぞ」は強意の係助詞で、「悲しき」と連体形で結ぶ。「夢」は、女と過ごした日々を夢のようにはかなく振り返るものである。前歌の第七百九十一首の結句「げにぞ悲しき」と「ぞ悲しき」を共有し、本巻の第七百九十首から続く寝覚めと夢の歌を結ぶ。
しのぶ:人目を避ける
ものまうす:男女が言葉を交わす、情を通わせる
よどこ:夜の寝床
- 作者
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藤原実家
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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