ふるさとを別れし秋を数ふれば
八年になりぬ有明の月
- 歌の意味
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住み慣れたふるさとに別れた秋から数えてみると、八年になった。夜明けの空に残る有明の月よ。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 798
詞書「藤原定通身まかりてのち、月明かき夜、人の夢に殿上になん侍るとて詠み侍りける歌」
秋の景物に故人をしのぶ一連の二十四首目である。ふるさとに別れた秋から数えると八年になった、有明の月よと詠む。詞書によれば、藤原定通が亡くなった後、月の明るい夜に、ある人の夢に現れ、殿上におりますと言って詠んだ歌である。
原文には作者名が記されていない。詞書によれば、亡くなった藤原定通が人の夢の中で詠んだ歌とされる。藤原定通の事績は、詞書からは知られない。
場面は定通の没後の月の明るい夜、場所はある人の夢の中である。
直接の契機は、ある人が亡き定通を夢に見たことである。
初句「ふるさとを」の「ふるさと」は、以前に住み慣れた所で、ここでは亡き定通が別れてきたこの世の住まいをいう。
二句「別れし秋を」は、別れた秋を、の意である。「し」は過去で、定通が世を去った秋を指す。
三句「数ふれば」の「ば」は順接の確定条件で、数えてみると、の意である。
四句「八年になりぬ」の「ぬ」は完了で、八年になった、の意である。ここで四句切れとなる。
結句「有明の月」は体言止めである。夜が明けても空に残る月であり、詞書の「月明かき夜」を受ける。前歌までが残された者の嘆きであったのに対し、ここでは死者の側から歳月を数える。本巻の第七百七十四首が、亡き人も旅の空で悲しんでいるかと思いやったのと、死者の側に立つ点で呼応する。次歌の第七百九十九首も秋の月を見て亡き人を思い、月の歌が続く。
みまかる:亡くなる
てんじやう:清涼殿の殿上の間
ありあけ:夜が明けても空に月が残っていること
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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