- 歌の意味
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物思いばかりをして寝ては目覚める枕には、涙のかからない暁というものがない。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 810
詞書「公忠朝臣身まかりにけるころ詠み侍りける」
近しい人を失った嘆きを詠む一連の三首目である。物思いばかりして寝覚めする枕には、涙のかからない暁はないと詠む。詞書によれば、公忠朝臣が亡くなったころに詠んだ歌である。
作者は源公忠の子で、陸奥守などを務めた。三十六歌仙の一人である。「公忠朝臣」は作者の父の源公忠で、光孝天皇の孫にあたり、右大弁を務めた。三十六歌仙の一人である。
場面は父公忠が亡くなったころの暁、場所は寝所である。
直接の契機は、父公忠が亡くなったことである。
初句「物をのみ」の「のみ」は限定で、物思いばかりを、の意である。
二句「思ひ寝覚めの」は、物思いをしながら寝て、また目覚める、の意である。「思ひ寝」と「寝覚め」とが一続きになり、夜通し眠れずに嘆くさまをいう。
三句「枕には」は、寝覚めの床の枕には、の意である。
四句「涙かからぬ」は、涙がかからない、の意で、結句の「暁」にかかる。
結句「暁ぞなき」の「ぞ」は強意の係助詞で、「なき」と連体形で結ぶ。毎夜の暁に枕が涙に濡れるという、打消を重ねた言い方で嘆きの絶え間なさを示す。前歌の第八百九首に続いて父を失った嘆きを詠み、前歌の水底の光から、ここでは暁の枕の涙へと場が移る。次歌の第八百十一首も、寝ての夢に亡き人を見る歌である。
みまかる:亡くなる
ねざめ:夜中に目を覚ますこと
あかつき:夜明け前のまだ暗いころ
- 作者
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源信明
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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