はかなしと言ふにもいとど涙のみ
かかるこの世を頼みけるかな
- 歌の意味
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はかないと口にするにつけても、いっそう涙ばかりがかかる。こんなこの世を、頼みにしていたことだ。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 813
詞書「幼かりける子の身まかりにけるに」
近しい人を失った嘆きを詠む一連の六首目で、一連の最後の歌である。はかないと言うにつけても涙ばかりがかかる、このような世を頼みにしていたことだと詠む。詞書によれば、幼い子が亡くなったときに詠んだ歌である。
作者は平安時代中期の歌人で、筑前守などを務めた。中古三十六歌仙の一人である。
場面は幼い子が亡くなったころ、場所は記されていない。
直接の契機は、幼い子を亡くしたことである。
初句「はかなしと」は、はかないと、の意である。人の世のはかなさを言葉にすることを初句に置く。
二句「言ふにもいとど」の「いとど」は、いっそう、の意である。はかないと口にするにつけても、かえって悲しみが増すことをいう。
三句「涙のみ」の「のみ」は限定で、涙ばかりが、の意である。
四句「かかるこの世を」の「かかる」は、涙が「掛かる」意と、このようなの意の「斯かる」を掛ける掛詞である。涙のかかる、このような世を、の意となる。
結句「頼みけるかな」の「ける」は詠嘆、「かな」も詠嘆で、頼みにしていたことだ、の意である。はかないと知りながらも子の行く末を頼みにしていた自分に、今になって気づく嘆きである。前歌の第八百十二首までの父や帝を失った嘆きに続き、子を失った嘆きで、近しい人を失った嘆きを詠む一連が結ばれる。
みまかる:亡くなる
かかる:涙が掛かる意と、このようなの意の斯かるを掛ける
- 作者
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源道済
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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