ふるさとに行く人もがな告げやらん
知らぬ山路にひとりまどふと
- 歌の意味
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ふるさとへ行く人がいればよいのに。その人に伝えてやろう。知らない山道に、ひとりで迷っていると。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 814
詞書「後一条院中宮隠れ給ひてのち、人の夢に」
亡き人の身の上を詠む一連の一首目である。ふるさとへ行く人がいればよい、知らない山道にひとりで迷っていると伝えようと詠む。詞書によれば、後一条院の中宮が亡くなった後、ある人の夢の中で詠まれた歌である。
原文には作者名が記されていない。詞書によれば、亡くなった後一条院中宮が人の夢の中で詠んだ歌とされる。「後一条院中宮」は藤原道長の娘の藤原威子で、後一条天皇の中宮となった。長元九年(1036)に亡くなった。
場面は威子の没後、場所はある人の夢の中である。
直接の契機は、ある人が亡き威子を夢に見たことである。
初句「ふるさとに」の「ふるさと」は、以前住み慣れた所で、ここでは亡き中宮が別れてきたこの世の住まいをいう。
二句「行く人もがな」の「もがな」は願望で、行く人がいればよいのに、の意である。ここで二句切れとなる。
三句「告げやらん」の「ん」は意志で、伝えてやろう、の意である。ここで三句切れとなり、伝える内容が下の句に置かれる。
四句「知らぬ山路に」は、見知らぬ山の道に、の意で、死後にたどる道をいう。
結句「ひとりまどふと」の「まどふ」は、道に迷う意である。「と」は伝える内容を受け、倒置によって三句の「告げやらん」へ返る。本巻の第七百九十八首も亡き人が人の夢に現れて詠んだ歌であり、死者の側から語る歌が再び置かれる。前歌の第八百十三首が残された親の嘆きであったのに対し、ここでは去った者がひとり迷う身の上を訴える。
かくる:貴人が亡くなる
やまぢ:山の中の道
まどふ:道に迷う
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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