我もいつぞあらましかばと見し人を
しのぶとすればいとど添ひゆく
- 歌の意味
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私もいつそうなるのか。「生きていてくれたら」と思う亡き人々をしのぼうとすると、その数はいっそう増えてゆく。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 835
詞書は前の歌に続き「無常の心を」
無常の心を詠む一連の五首目で、一連の最後の歌である。自分もいつそうなるのか、生きていたらと思う人をしのぼうとすると、その数はいっそう増えてゆくと詠む。詞書は前歌に続き「無常の心」を詠んだものである。
原文にはこの歌の作者名がなく、前歌の作者を受ける。作者は関白藤原忠通の子で、天台座主を四度務めた。
場面と場所は記されていない。
直接の契機は、「無常の心」を題とする詠である。
初句「我もいつぞ」は、私もいつそうなるのか、の意である。六音の字余りで、亡き人々の列に自分もいつ加わるのかと問う。
二句「あらましかばと」の「ましかば」は反実仮想で、生きていたならばと、の意である。亡き人に対して抱く思いをいう。
三句「見し人を」は、かつて見馴れた人を、の意で、今は亡い人々をいう。
四句「しのぶとすれば」の「ば」は順接で、しのぼうとすると、の意である。
結句「いとど添ひゆく」の「いとど」は、いっそう、の意である。「添ひゆく」は、加わってゆく意で、しのぶべき亡き人の数が増えてゆくことをいう。一人をしのべば次々と別の亡き人が思い出され、その列にやがて自分も加わるという。初句の「我も」と結句の「添ひゆく」が呼応する。前歌の第八百三十四首が我が身の死の近さを詠んだのに続き、ここでは亡き人の列に加わる我が身を詠み、無常の心を詠む一連が結ばれる。
しのぶ:亡き人を慕い思い出す
そふ:加わる、増す
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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