年ふればかくもありけり墨染めの
こは思ふてふそれかあらぬか
- 歌の意味
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年月が経つとこのようにもなるものだったのだ。墨染めの喪服を着たこの人は、私が思いを寄せたというあの人なのか、それとも別人なのか。
- 鑑賞
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巻第八 哀傷歌 852
詞書「更衣の服にて参れりけるを見たまひて」
古い時代の歌人による哀傷歌の一連の四首目である。年が経つとこうもなるのだった、墨染めのこの人は思っていたあの人なのか違うのかと詠む。詞書によれば、更衣が喪服を着て参上したのをご覧になって詠んだ歌である。
作者は宇多天皇の皇子で、その治世は延喜の治と称され、『古今和歌集』の撰進を命じた。「更衣」は天皇の妃の位の一つで、女御に次ぐ。
場面は更衣が喪服姿で参上したとき、場所は宮中である。
直接の契機は、喪に服している更衣の姿を見たことである。
初句「年ふれば」の「ふ」は、年月が経つ意である。「ば」は順接の確定条件で、年が経つと、の意である。
二句「かくもありけり」の「けり」は詠嘆で、このようにもなるのだった、の意である。ここで二句切れとなる。
三句「墨染めの」の「墨染め」は、墨色に染めた喪服である。
四句「こは思ふてふ」の「こ」は、これは、この人は、の意である。「てふ」は「といふ」のつづまった形で、思っているという、の意となる。かつて自分が思いを寄せた人をいう。
結句「それかあらぬか」は、その人なのか、そうでないのか、の意である。華やかな姿であった更衣が喪服に身を包んでいるのを見て、同じ人とも思えないという。前歌の第八百五十一首が失った人を思い返したのに続き、ここでは喪服姿によって人の変わりようを見る。
ふ:年月が経つ
すみぞめ:墨色に染めた喪服
- 作者
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醍醐天皇
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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