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君にまたあふくま川を待つべきに
残り少なき我ぞ悲しき

歌の意味
あなたにまた逢うという名の阿武隈川を待たなければならないのに、残りの命の少ない我が身が悲しい。
鑑賞
巻第九 離別歌 867

詞書「返し」
 陸奥国にかかわる別れを詠む一連の三首目であり、高階経重との贈答の二首目である。再び逢える日を待たなければならないのに、残りの命の少ない自分が悲しいと返す。詞書によれば、前歌への返歌である。
 作者は藤原中清の子で、尾張守などを歴任し、和歌六人党の一人に数えられた。
 場面は経重が陸奥国へ赴任する別れのとき、場所は都である。
 直接の契機は、前歌に対する返歌である。

 初句「君にまた」は、あなたにまた、の意で、再会を思う言葉から歌を起こす。
 二句「あふくま川を」は、前歌の「あふくま川」をそのまま受け、「逢ふ」の掛詞を引き継ぐ。
 三句「待つべきに」は、待たなければならないのに、の意で、接続助詞「に」が逆接を表す。前歌が阿武隈川の名を頼みとしたのに対し、再会までに待つ時の長さに目を向けている。
 四句「残り少なき」は、残りの命が少ない、の意である。任期を終えて帰る日を待つには自分の余命が足りないという老いの嘆きである。
 結句「我ぞ悲しき」は、係助詞「ぞ」を受けて形容詞「悲し」の連体形「悲しき」で結ぶ。前歌が今日の別れのつらさを詠んだのに対し、本歌は再会までの年月と老いを思う悲しみで応じ、贈答が今日と将来という時の対比をなしている。

あふくまがは:陸奥国の阿武隈川に、逢ふの意を掛ける
まつ:来るべき時が来るのを待つ
作者
藤原範永
出典
新古今和歌集
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