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別れ路はこれや限りの旅ならむ
さらに行くべき心地こそせね

歌の意味
この別れの道は、これが最後の旅となるのだろうか。この先さらに行けそうな心地はまったくしない。
鑑賞
巻第九 離別歌 872

詞書「修行に出で立つとて人のもとに遣はしける」
 遠い旅に出る人との別れを詠む一連の二首目である。修行に出るにあたり、これが最後の旅になるのではないかと思い、この先へ行けそうな気がまったくしないと詠む。詞書によれば、修行に出立する際に人のもとへ贈った歌である。
 作者は藤原道綱の子で、天王寺別当を務め、読経の声の美しさで知られた。
 場面は修行に出立するとき、場所は記されていない。
 直接の契機は、修行に出立するにあたって人に歌を贈ったことである。

 初句「別れ路は」は、別れて行く道は、の意である。本巻の第八百七十四首と第八百九十四首も同じ初句で始まり、別れの歌を起こす語として繰り返し用いられている。
 二句「これや限りの」は、これが最後の、の意で、係助詞「や」が疑問を表す。修行の旅が命の限りの旅になるかもしれないという不安を示す。
 三句「旅ならむ」は、旅であろうか、の意で、「や」を受けて推量の「む」の連体形で結び、三句切れとなる。
 四句「さらに行くべき」の「さらに」は、結句の打消と呼応して、まったく、の意となる。この先へ行くことができそうにないという心細さを示す。
 結句「心地こそせね」は、係助詞「こそ」を受けて打消の「ず」の已然形「ね」で結ぶ。前歌が旅立つ子を見送る母の歌であったのに対し、本歌は旅立つ本人の心細さを詠んでおり、送る側と行く側とが並べられている。

わかれぢ:別れて行く道、また別れ
ここち:気持ち、感じ
作者
道命
出典
新古今和歌集
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