都をば秋とともにぞたちそめし
淀の川霧いく夜隔てつ
- 歌の意味
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都を秋の訪れとともに発ったのだった。淀の川霧は、幾夜のあいだ都と私を隔ててきたことか。
- 鑑賞
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巻第九 離別歌 876
詞書「七月ばかり美作へ下るとて都の人に遣はしける」
秋の別れを詠む一連の三首目である。秋が立つのとともに都を発ち、淀の川霧に幾夜隔てられてきたことかと詠む。詞書によれば、七月ごろ美作国へ下る際に都の人に贈った歌である。
作者は大江成衡の子で、後三条天皇、白河天皇、堀河天皇に仕え、権中納言に至った学者である。
場面は七月ごろの旅の途上、場所は淀のあたりである。
直接の契機は、美作国へ下るにあたり都の人に歌を贈ったことである。
淀は山城国の地名で、現在の京都市伏見区にあたり、淀川の舟運の要地として都から西国へ向かう旅の起点となった。
初句「都をば」は、都を、の意で、係助詞「は」が付いて濁った「をば」が目的語を強く示す。
二句「秋とともにぞ」は、秋の訪れとともに、の意で、係助詞「ぞ」が強く取り立てる。詞書の七月ばかりという時期を受けている。
三句「たちそめし」の「たち」は、秋が立つ意と旅に発つ意を掛け、次の川霧が立つ意も響かせる。「そめ」は、し始める、の意で、過去の助動詞「き」の連体形「し」で「ぞ」の結びとなり、三句切れとなる。
四句「淀の川霧」は、旅の起点である淀の川に立つ霧である。霧が都のある方角を隠し、旅人と都とを隔てるものとして詠まれている。
結句「いく夜隔てつ」は、幾夜隔ててきたことか、の意で、完了の助動詞「つ」が隔てられてきた時の積み重ねを示す。前歌が秋に誘われて旅立つことを詠んだのに続き、本歌は秋とともに発った旅の途上の歌であり、送る側の第八百七十四首、行く側の第八百七十五首から、旅に出た後の本歌へと秋の別れの一連が進んでいる。
たつ:秋が立つ意と、旅に発つ意を掛け、霧が立つ意も響かせる
かはぎり:川に立つ霧
へだつ:間を隔てる、遠ざける
- 作者
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大江匡房
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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