はるばると君が分くべき白波を
あやしやとまる袖にかけつる
- 歌の意味
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はるばると、あなたが分けて行くはずの白波を、不思議なことに、都にとどまる私の袖にかけたことだ。
- 鑑賞
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巻第九 離別歌 884
詞書「登蓮法師筑紫へまかりけるに」
海路の別れを詠む一連の二首目である。旅立つ人が分けて行くはずの白波が、とどまる自分の袖にかかったと詠む。詞書によれば、登蓮法師が筑紫へ下る際に詠まれた。
作者は源俊頼の子で、東大寺の僧となり、自坊の歌林苑に歌人を集めた。
場面は筑紫へ下る人を見送るとき、場所は都である。
直接の契機は、登蓮法師が筑紫へ下ることである。
初句「はるばると」は、遠く隔たったさまを表す。筑紫までの長い海路が一語で示される。
二句「君が分くべき」は、あなたが分けて行くはずの、の意である。「分く」は波を押し分けて進むことで、旅する側の動きを示す。
三句「白波を」は、船の行く海の波である。行く人の上にあるはずの波が、下の句で残る者の側へ移される。
四句「あやしや」は、不思議なことよ、の意で、感動を表してここで句切れとなる。波がかかるはずのない場所にかかったという驚きを示す。
結句「とまる袖にかけつる」は、とどまる私の袖にかけた、の意で、実際には涙で濡れた袖をいう。行く人の波と残る人の涙とが一つの「波」で結ばれ、行く側と残る側とが反転して示される。本巻の第八百八十二首の作者である登蓮を送る歌がここに置かれ、別れの心を詠んだ一連と人のつながりで続いている。
わく:押し分けて進む
かく:水などを及ぼしかける、涙で濡らす
- 作者
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俊恵
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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