君いなば月待つとてもながめやらむ
東の方の夕暮の空
- 歌の意味
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あなたが行ってしまったら、月の出を待つと言っては、東の方の夕暮の空を眺めやることだろう。
- 鑑賞
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巻第九 離別歌 885
詞書「陸奥国へまかりける人餞し侍りけるに」
東国へ下る人を送る歌である。相手が去ったのちは、月を待つという口実で東の空を眺めやることになろうと詠む。詞書によれば、陸奥国へ下る人に餞別をする際に詠まれた。
作者は俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが出家し、諸国を旅して家集『山家集』を残した。
場面は夕暮のころの見送り、場所は都である。
直接の契機は、陸奥国へ下る人に餞別をしたことである。
初句「君いなば」は、あなたが行ってしまったならば、の意である。「いぬ」は去る意で、未然形に「ば」が付いて仮定を表す。
二句「月待つとても」は、月の出を待つと言っても、の意である。東の空を見るための口実として月が置かれている。
三句「ながめやらむ」は、遠く眺めやるだろう、の意で、推量の「む」が別れたのちの自分の姿を思い描く。
四句「東の方の」は、相手の下って行く陸奥国の方角である。月の出る方角と、人の去る方角とが重なっている。
結句「夕暮の空」は体言止めで、一首を空の景に収める。月を待つと言いながら実は人を思うという趣向であり、月を介して離れた人を思う本巻の第八百七十七首と通う。本巻の第八百七十四首の「秋の夕暮」に続いて、夕暮が別れの時として繰り返されている。
いぬ:去る、行ってしまう
ながむ:物思いにふけって遠くを見やる
あづま:都から東の地方、東国
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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