かりそめの旅の別れと忍ぶれど
老いは涙もえこそとどめね
- 歌の意味
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一時の旅の別れだと思って堪えるけれども、老いた身は涙さえもとどめることができない。
- 鑑賞
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巻第九 離別歌 889
詞書「題しらず」
題しらずの別れを詠む一連の一首目である。一時の旅の別れだと思って堪えていても、老いた身では涙をとどめられないと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者は藤原俊忠の子で、『千載和歌集』を撰し、幽玄の歌風を説いた。
場面は人と別れるとき、場所は記されていない。
直接の契機は伝わらない。
初句「かりそめの」は、一時的でその場限りの、の意である。本巻の第八百八十一首の初句と同じ語で、別れを軽く受け止めようとする姿勢を示す。
二句「旅の別れと」は、旅による別れとして、の意である。死の別れではないことを自らに言い聞かせている。
三句「忍ぶれど」は、堪えているけれども、の意で、逆接によって堪えきれない下の句へ転じる。
四句「老いは涙も」は、老いた身は涙さえも、の意で、係助詞「は」が老いを取り立て、「も」が涙を添える。
結句「えこそとどめね」は、とどめることができない、の意で、副詞「え」が打消と呼応して不可能を表し、係助詞「こそ」が打消の「ず」の已然形「ね」を結ぶ。本巻の第八百七十九首と同じ「えこそ…ね」の結びであり、前歌が老いゆえに約束できないと詠んだのに続いて、老いゆえに涙を抑えられないと詠まれている。
かりそめ:一時的でその場限りのこと
しのぶ:表に出さないようにこらえる
とどむ:とめる、おさえる
- 作者
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藤原俊成
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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