まだ知らぬ故郷人は今日までに
来んと頼めし我を待つらん
- 歌の意味
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まだ何も知らない故郷の人は、今日までには帰って来ると約束した私を、今も待っているのだろう。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 909
詞書「題しらず」
平安時代の歌人による旅の歌を並べる一連の五首目である。故郷の人はまだ何も知らずに、今日までには帰ると約束した自分を待っているだろうと、帰れずにいる旅の身から故郷を思う。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の菅原輔昭は、平安時代中期の人で、菅原氏の一族である。
場面は約束した帰郷の日にも旅先にいる時、場所は旅先である。
直接の契機は伝わらない。
初句「まだ知らぬ」は、まだ知らない、の意である。旅人が約束の日に帰れなくなったことを、故郷の人がまだ知らないことを示す。
二句「故郷人は」は、故郷にいる人は、の意である。旅に出た者が家に残してきた人を指す。
三句「今日までに」は、今日までには、の意である。帰ると約束した期日が今日であったことが示される。
四句「来んと頼めし」は、帰って来ようと約束して当てにさせた、の意である。「頼む」はここでは下二段活用で、相手に当てにさせる意を表し、過去の「し」が約束をした時を振り返らせる。
結句「我を待つらん」は、私を待っているだろう、の意である。「らん」は目の前にない現在の事柄を推し量る助動詞で、今この時にも待っている故郷の人の姿を思い描いている。本巻の第八百九十八首が故国の浜松の「待ち恋ひぬらん」と詠んだのと同じく、待つ側の心を旅人の側から推し量る歌である。また前歌では旅の地にある作者が都からの言葉を待つ側に立っていたのに対し、この歌では旅人が待たれる側に立っており、待つ側と待たれる側が反転している。
ふるさとびと:故郷に住む人、家に残してきた人
たのむ:下二段活用で、相手に当てにさせる、約束する
- 作者
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菅原輔昭
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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