神風の伊勢の浜荻折り伏せて
旅寝やすらん荒き浜辺に
- 歌の意味
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伊勢の浜荻を折り敷いて、あの人は旅寝をしているのだろうか。波風の荒い浜辺で。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 911
詞書は前の歌に続き「題しらず」
旅の宿りを詠む一連の二首目である。伊勢の浜荻を折り敷いて、荒い浜辺で旅寝をしているのだろうかと、旅に出た人の夜を思いやる。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者名は記されておらず、前歌に続いて「よみ人しらず」の歌である。
場面は旅に出た人を思う夜、場所は旅人の寝る伊勢の浜辺を思いやる、家に残った側である。
直接の契機は伝わらない。
この歌は『万葉集』巻四に、碁檀越が伊勢国に行った時に、家に残った妻が詠んだ歌として収められている。
なお原文には「ふせ」を「しき」とする異本の注記があるが、本文と読み仮名の行に従い「ふせ」を採る。
初句「神風の」は「伊勢」にかかる枕詞である。
二句「伊勢の浜荻」は、伊勢の浜辺に生える荻である。伊勢では葦を浜荻と呼んだとされ、浜辺の草として旅寝の床に結び付けられる。
三句「折り伏せて」は、折り敷いて、の意である。草を折って寝床とする、屋根のない野宿のさまが示される。
四句「旅寝やすらん」は、旅寝をしているのだろうか、の意である。係助詞「や」を受けて、目の前にない事柄を推し量る「らん」が連体形で結ばれる。本巻の第九百二首の「一人や君が山路越ゆらん」と同じく、残った側から旅人を思いやる形であり、山路の旅と浜辺の旅寝が対をなしている。
結句「荒き浜辺に」は、波風の荒い浜辺で、の意である。倒置によって寝る場所が最後に示される。前歌の「宿はなくして」を受けて、宿のない旅寝の厳しさが浜辺の景で詠まれている。
はまをぎ:浜辺に生える荻、伊勢では葦をいう
をりふす:折って下に敷く、折り伏せる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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