都にて越路の空を眺めつつ
雲居といひしほどに来にけり
- 歌の意味
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都にいて越路の空を眺めては、雲のかなたと言っていた、それほど遠い所に来てしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 914
詞書「題しらず」
遠い旅路と水辺の旅を詠む一連の一首目である。都にいて越路の空を眺めては、雲のかなたと言っていたほどの遠い所に、今自分は来てしまったと、旅の遠さを詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の御形宣旨は、平安時代中期の女房である。「宣旨」は、宣旨を取り次ぐ役を務めた女房の呼び名である。
場面は越路の旅の途中、場所は北陸道の越路である。
直接の契機は伝わらない。
初句「都にて」は、都にいて、の意である。旅に出る前の都での日々を振り返る。
二句「越路の空を」は、越の国々の方角の空を、の意である。越路は都から遠い北国への道として詠まれる。
三句「眺めつつ」は、眺めては、の意である。「つつ」は動作の繰り返しを表し、都で幾度も遠い空を見やったことを示す。
四句「雲居といひし」は、雲のかなたと言っていた、の意である。過去の「し」で都にいた時の言葉を振り返る。本巻の第九百七首が「見えぬ雲居に世をや尽くさん」と雲居の地を行く末として思いやったのに対し、この歌ではその雲居の地に実際に来ている。
結句「ほどに来にけり」は、それほど遠い所に来てしまったことだ、の意である。気づきの「けり」で、遠さを身をもって知った感慨を示す。本巻の第九百一首が都に帰り着いて遠い筑紫を思いやったのに対し、この歌は都で思いやった遠い地に自ら至っており、都と遠い地の立場が入れ替わっている。次歌の「ほども知られず」とも「ほど」の語で連なる。
こしぢ:北陸道、越の国々へ向かう道
くもゐ:雲のあるはるかな所、遠く隔たった所
- 作者
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御形宣旨
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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