我妹子が旅寝の衣薄きほど
よきて吹かなん夜半の山風
- 歌の意味
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いとしい人の旅寝の衣は薄いので、そこだけは避けて吹いてほしい、夜更けの山風よ。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 921
詞書は前の歌に続き「旅歌とてよみ侍りける」
旅寝の寂しさを詠む一連の二首目である。いとしい人の旅寝の衣は薄いので、夜半の山風よ、そこだけは避けて吹いてほしいと、旅寝する人の身を気づかう。詞書によれば、旅の歌として詠まれた。
作者の恵慶は、平安時代中期の僧で歌人である。中古三十六歌仙の一人である。
場面は旅寝の夜更け、場所は山風の吹く山中の旅の宿りである。
直接の契機は「旅」を題として詠んだことである。
初句「我妹子が」は、いとしい人の、の意である。「我妹子」は妻や恋人を親しんで呼ぶ語である。
二句「旅寝の衣」は、旅寝をする時の衣、の意である。前歌の「旅寝して」を受け、旅寝の語が続く。
三句「薄きほど」は、薄いので、その薄さを思って、の意である。
四句「よきて吹かなん」は、避けて吹いてほしい、の意である。「なん」は他に対する願望を表す終助詞で、風に向かって願いかけている。
結句「夜半の山風」は、夜更けに山から吹く風、の意である。願いを向ける相手が体言止めで最後に置かれる倒置となっている。前歌の「秋風ぞ吹く」を受けて、ここでは風に吹くなと願う形となり、風を受ける歌から風を避けたい歌へと転じている。本巻の第九百十一首が、家に残った妻が浜辺で旅寝する夫を思いやったのに対し、この歌はいとしい人の旅寝を思いやる歌であり、思う側と思われる側が入れ替わっている。
わぎもこ:妻や恋人を親しんで呼ぶ語
よく:避ける
よは:夜中、夜更け
- 作者
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恵慶
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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