旅寝する芦の丸屋の寒ければ
爪木樵り積む舟急ぐなり
- 歌の意味
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旅寝をしている芦葺きの粗末な小屋が寒いので、薪にする小枝を切って積んだ舟が急いでいるようだ。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 927
詞書「田上にてよみ侍りける」
旅寝の寂しさを詠む一連の八首目である。旅寝する芦の丸屋が寒いので、薪を切って積んだ舟が急いでいるようだと、水辺の宿りの寒さと土地の人の営みを詠む。詞書によれば、田上で詠まれた歌である。
作者の「大納言経信」は源経信である。平安時代後期の公卿で、正二位大納言に至り、桂大納言と呼ばれた。
場面は寒い季節の旅寝、場所は近江国の田上の水辺にある芦の丸屋である。
直接の契機は、田上に滞在した折の詠である。
初句「旅寝する」は、前歌の三句と同じ語で始まる。二首が同じ句を共有して並べられている。
二句「芦の丸屋の」は、芦で葺いた粗末な小屋の、の意である。前歌の四句「芦の丸屋に」と同じ語で、同じ宿りが続けて詠まれる。
三句「寒ければ」は、寒いので、の意である。已然形に「ば」が付いて理由を表す。
四句「爪木樵り積む」は、薪にする小枝を切って積んだ、の意である。「爪木」は薪にする小枝で、寒さに備える土地の人の営みが示される。
結句「舟急ぐなり」は、舟が急いでいるようだ、の意である。「なり」は音によって推し量る助動詞で、丸屋の中から、急いで漕ぐ舟の音を聞き取っている。前歌が丸屋にかかる白波に耐えられない旅人の心を詠んだのに対し、この歌は同じ丸屋の寒さから、薪を運ぶ土地の人の舟へと目を移しており、旅人の不安から水辺の暮らしへと視点が転じている。
たなかみ:近江国の地名、田上
つまぎ:薪にする小枝
こる:木を切る
- 作者
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源経信
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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