立ち帰りまたも来て見ん松島や
雄島の苫屋波に荒らすな
- 歌の意味
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引き返して、また来て見よう。松島の雄島の苫屋よ、それまで波に荒らさせるな。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 933
詞書は前の歌に続き「守覚法親王家に五十首歌よませ侍りける旅歌」
旅の月を詠む一連の四首目であるが、この歌には月は詠まれていない。引き返してまた来て見よう、松島の雄島の苫屋を波に荒らさせるなと、旅先の景に心を残す。詞書によれば、守覚法親王の家で詠まれた五十首歌のうちの旅の歌である。
作者名は記されておらず、前歌に続いて藤原俊成の作である。藤原俊成は平安時代後期から鎌倉時代初期の歌人で、『千載和歌集』を撰進し、藤原定家の父である。
場面は旅の途中、場所は陸奥国の松島の雄島である。
直接の契機は、守覚法親王の家で詠まれた五十首歌の、旅の題である。守覚法親王は後白河天皇の皇子で、仁和寺の門跡である。
初句「立ち帰り」は、引き返して、の意である。旅先を去る時点から、再び訪れることを思う。
二句「またも来て見ん」は、また来て見よう、の意である。「ん」は意志を表し、ここで句が切れる二句切れである。
三句「松島や」は、陸奥国の歌枕松島を呼び出す句である。助詞「や」は詠嘆を込めて地名を示す。本巻の第九百三十首の「十府の浦」に続いて、陸奥の歌枕が詠まれる。
四句「雄島の苫屋」は、松島の雄島にある苫葺きの小屋、の意である。雄島は松島の島の一つで、海人の住む苫屋とともに詠まれる。
結句「波に荒らすな」は、波に荒らさせるな、の意である。禁止の「な」で結び、苫屋に呼びかける形をとる。本巻の第九百二十六首が丸屋にかかる白波に耐えられない心を詠んだのに対し、この歌は苫屋を波に荒らさせるなと呼びかけており、波にさらされる小屋が、宿る旅人の不安の種から、再び訪れるまで残っていてほしい景へと転じている。
とまや:苫で屋根を葺いた粗末な小屋
とま:菅や茅を編んで作った覆い
- 作者
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藤原俊成
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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