幾夜かは月をあはれと眺め来て
波に折り敷く伊勢の浜荻
- 歌の意味
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幾夜、月をしみじみと趣深いものとして眺めてきたことだろう。波打ち際に折り敷いて寝床とする伊勢の浜荻よ。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 943
詞書「海浜重夜といへる心をよみ侍りし」
伊勢の浜荻を詠む一連の一首目である。幾夜月をあわれと眺めてきたことか、波打ち際に伊勢の浜荻を折り敷いてと、浜辺で重ねる旅寝の夜を詠む。詞書によれば「海浜重夜」の題で詠まれた。
作者の越前は、鎌倉時代初期の女房歌人である。「越前」は国名による女房の呼び名である。
場面は浜辺で夜を重ねる旅寝、場所は伊勢の浜辺である。
直接の契機は「海浜重夜」の題による詠である。
初句「幾夜かは」は、幾夜…ことだろうか、の意である。係助詞「かは」による疑問で、重ねた夜の多さを思う。本巻の第九百三十一首の「幾夜か旅の」と同じく、旅寝の夜を数える形である。
二句「月をあはれと」は、月をしみじみと趣深いものと、の意である。本巻の第九百三十七首の二句と同じ語で、旅先の月のあわれが詠まれる。
三句「眺め来て」は、眺め続けてきて、の意である。夜ごとに月を見てきた時間の重なりが示される。
四句「波に折り敷く」は、波打ち際に折って敷く、の意である。浜荻を折り敷いて寝床とするさまで、係助詞「かは」の結びとして連体形で受けている。
結句「伊勢の浜荻」は、伊勢の浜辺に生える荻、の意で、体言止めで結ばれる。本巻の第九百十一首の「伊勢の浜荻折り伏せて」を受けた語で、ここから伊勢の浜荻を結句に置く歌が続く。次歌も同じ結句「伊勢の浜荻」で結ばれる。
はまをぎ:浜辺に生える荻、伊勢では葦をいう
をりしく:折って下に敷く
- 作者
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越前
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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