- 歌の意味
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故郷で聞いた嵐とは、その声も似ていない。いっそあの人を忘れてしまえ、さやの中山で。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 954
詞書は前の歌に続き「旅の歌とてよめる」
日暮れの旅路と宿を詠む一連の五首目である。さやの中山の嵐は故郷で聞いた嵐とは声も似ていない、いっそ故郷の人を忘れてしまえと、遠く来た旅の身の思いを詠む。詞書によれば、旅の歌として詠まれた。
作者の「家隆朝臣」は藤原家隆である。鎌倉時代初期の歌人で、『新古今和歌集』の撰者の一人である。
場面は旅の途中、場所は遠江国のさやの中山である。
直接の契機は「旅」を題として詠んだことである。
初句「故郷に」は、故郷で、の意である。故郷で過ごした日々を振り返る。
二句「聞きし嵐の」は、聞いた嵐の、の意である。過去の「し」で故郷の嵐の記憶を呼び起こす。前歌の「峰の嵐」を受けて、嵐の語が続く。
三句「声も似ず」は、その声も似ていない、の意である。ここで句が切れる三句切れで、旅先の嵐が故郷のものとは違うことに、遠く来た身を知る。
四句「忘れね人を」は、あの人を忘れてしまえ、の意である。「ね」は完了の助動詞「ぬ」の命令形で、故郷とのつながりを断ち切ろうとする強い言葉である。
結句「さやの中山」は、遠江国の峠で、東海道の難所として知られた歌枕である。体言止めで場所が最後に示される。本巻の第九百四十首が同じ中山で月に故郷の面影を運ばせようとしたのに対し、この歌は同じ地で故郷の人を忘れよと詠んでおり、故郷への思いが反転した形で示されている。
あらし:山から激しく吹きおろす風
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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