- 歌の意味
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旅寝の夕べの空のもとで私がどうしているかと、都の人が尋ねたならば、鳴いてでも、私が泣いているさまを告げてくれ、初雁の声よ。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 960
詞書は前の歌に続き「和歌所の歌合に羇中暮といふことを」
日暮れの旅路と宿を詠む一連の十一首目である。旅の夕べの空のもと自分がどうしているかと人が尋ねたなら、鳴いてでも告げてくれ、初雁よと、都へ渡る雁に思いを託す。詞書によれば、和歌所の歌合で「羇中暮」の題で詠まれた。
作者の藤原秀能は、鎌倉時代初期の歌人である。後鳥羽院に北面の武士として仕えた。
場面は秋の旅の夕べ、場所は初雁の渡る空の下の旅先である。
直接の契機は、和歌所で催された歌合の「羇中暮」の題による詠である。
初句「草枕」は旅にかかる枕詞で、ここでは旅寝の身を表す。
二句「夕べの空を」は、夕べの空のもとの私のことを、の意である。前歌の「雲のはたて」を眺める夕べを受けて、夕べの空が詠まれる。
三句「人問はば」は、人が尋ねたならば、の意である。未然形に「ば」が付いて仮定を表す。本巻の第九百八首、第九百十二首、第九百三十首で詠まれた「問ふ」の語を受け、都の人の問いかけを仮定している。
四句「なきても告げよ」の「なき」には、雁が「鳴き」の意と、旅人が「泣き」の意が掛けられている。命令形で雁に頼む形である。
結句「初雁の声」は、秋に初めて渡ってくる雁の声、の意で、体言止めで呼びかけの対象を示す。本巻の第九百四十五首の「衣かりかね波になくなり」に続いて雁が詠まれ、あちらでは雁の声が旅人の嘆きと重ねられたのに対し、ここでは雁が旅人の思いを都へ伝える使いとされている。本巻の第九百三十四首が千鳥に言問わせたのと同じく、鳥に思いを託す形である。
なく:雁が「鳴く」意と、人が「泣く」意を掛ける
はつかり:秋に初めて渡ってくる雁
- 作者
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藤原秀能
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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