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伏しわびぬ篠の小笹のかり枕
はかなの露やひとよばかりに

歌の意味
横になっても眠りかねてしまった。篠の小笹を刈って結んだ仮の枕よ。はかない露であることよ、ほんの一夜の宿りに、これほど置くとは。
鑑賞
巻第十 羈旅歌 961

詞書「旅の心を」
 日暮れの旅路と宿を詠む一連の十二首目である。篠の小笹を刈って結んだ仮枕では眠りかね、ほんの一夜の宿りにもはかない露が置くと、露けき旅寝の一夜を詠む。詞書によれば、旅の心を題として詠まれた。
 作者の「有家朝臣」は藤原有家である。藤原重家の子で、鎌倉時代初期の歌人である。『新古今和歌集』の撰者の一人である。
 場面は旅寝の一夜、場所は篠の小笹の生い茂る野である。
 直接の契機は「旅の心」を題として詠んだことである。

 初句「伏しわびぬ」は、横になっても眠りかねてしまった、の意である。完了の「ぬ」で言い切る初句切れである。
 二句「篠の小笹の」は、篠竹の小さな笹の、の意である。旅寝の床となる野の笹が示される。
 三句「かり枕」の「かり」には、仮の枕の「仮」と、小笹を「刈り」の意が掛けられている。本巻の第九百四十六首の「菰枕」、第九百四十八首の「さ夜枕」に続き、旅の枕が詠まれる。
 四句「はかなの露や」は、はかない露であることよ、の意である。「や」は詠嘆を表す。露は涙をも思わせる。
 結句「ひとよばかりに」の「ひとよ」には、「一夜」と、笹の縁語である「一節」が掛けられている。ほんの一夜の宿りにも露が置くことへの嘆きで結ばれる。前歌の「夕べの空」から一夜の旅寝へと時が移る。

ふしわぶ:横になっても眠れずに苦しむ
かり:仮の意と、小笹を「刈り」の意を掛ける
ひとよ:「一夜」と、笹の「一節」を掛ける
作者
藤原有家
出典
新古今和歌集
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