枕とていづれの草に契るらん
行くを限りの野辺の夕暮
- 歌の意味
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今夜の枕として、どの草と約束を交わすことになるのだろうか。行けるところまで行こうとする、野辺の夕暮れよ。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 964
詞書「羇中夕といふ心を」
日暮れの旅路と宿を詠む一連の十五首目である。今夜の枕としてどの草と約束することになるのか、行けるところまで行こうとする野辺の夕暮れであると、宿のあてもなく野を行く旅を詠む。詞書によれば「羇中夕」の題で詠まれた。
作者の鴨長明は、鎌倉時代初期の歌人である。下鴨神社の禰宜の家に生まれ、和歌所の寄人となり、のちに出家して『方丈記』を著した。
場面は旅の夕暮れ、場所は野辺である。
直接の契機は「羇中夕」の題による詠である。
初句「枕とて」は、枕として、の意である。今夜の寝床を思う。
二句「いづれの草に」は、どの草と、の意である。本巻の第九百五十六首の「いづれの山か」と同じく、行く先の見えない旅の心細さが疑問の形で示される。
三句「契るらん」は、約束を交わすのだろうか、の意である。前歌の「契りにて」を受け、宿の主ではなく草と契る旅寝が詠まれる。ここで句が切れる三句切れである。本巻の第九百四十七首の「枕結ばん」と同じく、草を枕とする旅寝である。
四句「行くを限りの」は、行けるところまで行こうとする、の意である。宿のあてもなく、日の暮れるまで歩き続けるさまを示す。
結句「野辺の夕暮」は、野辺の夕暮れ、の意で、体言止めで結ばれる。本巻の第九百五十首から続いた日暮れの旅路と宿の歌が、宿のあてもない野辺の夕暮れで結ばれている。
ちぎる:約束する
- 作者
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鴨長明
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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