さらぬだに秋の旅寝は悲しきに
松に吹くなりとこの山風
- 歌の意味
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そうでなくてさえ秋の旅寝は悲しいのに、松に吹いているようだ、寝床のそばの鳥籠の山の山風が。
- 鑑賞
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巻第十 羈旅歌 967
詞書「旅歌とてよめる」
旅の道すがらの景と思いを詠む一連の三首目である。ただでさえ秋の旅寝は悲しいのに、寝床に近いとこの山の松に山風が吹いていると、秋の旅寝の悲しさを詠む。詞書によれば、旅の歌として詠まれた。
作者の藤原秀能は、鎌倉時代初期の歌人である。後鳥羽院に北面の武士として仕えた。
場面は秋の旅寝の夜、場所は近江国のとこの山である。
直接の契機は「旅」を題として詠んだことである。
なお原文には「ぬ」を「て」とする異本の注記があるが、本文と読み仮名の行に従い「ぬ」を採る。
初句「さらぬだに」は、そうでなくてさえ、の意である。「だに」は軽いものを挙げて、より重いものを類推させる。
二句「秋の旅寝は」は、秋の旅寝は、の意である。本巻の第九百二十首以来詠まれてきた秋の旅寝が、ここで改めて取り上げられる。
三句「悲しきに」は、悲しいのに、の意である。接続助詞「に」で、悲しさにさらに加わるものへと続く。
四句「松に吹くなり」は、松に吹いているようだ、の意である。「なり」は音によって推し量る助動詞で、寝床で松風の音を聞いている。
結句「とこの山風」の「とこ」には、旅寝の「床」と、近江国の歌枕「鳥籠の山」が掛けられている。前歌の「秋風ぞ吹く」を受けて風の歌が続き、あちらが宿を問う道中の秋風であったのに対し、ここでは寝床で聞く山風となっている。
とこ:旅寝の「床」の意と、近江国の歌枕「鳥籠の山」を掛ける
- 作者
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藤原秀能
- 出典
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新古今和歌集
- その他の歌
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