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おぼつかな都に住まぬ都鳥
言問ふ人にいかが答へし

歌の意味
気がかりなことだ。都に住んでいない都鳥よ、都の人の安否を尋ねた人に、いったいどのように答えたのか。
鑑賞
巻第十 羈旅歌 977

詞書「千五百番歌合に」
 旅の述懐を詠む一連の四首目である。都に住んでもいない都鳥が、都の人の安否を尋ねた人にどう答えたのか気がかりだと、古歌を踏まえて問いかける。詞書によれば、千五百番歌合に出された歌である。
 作者の宜秋門院丹後は、鎌倉時代初期の女房歌人である。後鳥羽天皇の中宮任子、のちの宜秋門院に仕えた。
 場面は旅の途中、場所は都鳥の住む東国の水辺を思う旅路である。
 直接の契機は、後鳥羽院が催した千五百番歌合である。
 本歌は、『古今和歌集』羈旅歌に在原業平の歌として収められ、『伊勢物語』第九段にも見える「名にし負はばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと」である。この歌は、その問いを受けた都鳥がどう答えたのかと問い返す形をとっている。

 初句「おぼつかな」は、気がかりなことだ、の意である。形容詞の語幹による詠嘆で、ここで句が切れる初句切れである。
 二句「都に住まぬ」は、都に住んでいない、の意である。都鳥という名を持ちながら都を知らない鳥であることを示す。
 三句「都鳥」は、隅田川で業平に都の人の安否を尋ねられた鳥である。本巻の第九百八首に続き、都鳥が詠まれる。
 四句「言問ふ人に」は、ものを尋ねる人に、の意である。本歌の「いざこと問はむ」を受け、業平を指す。本巻の第九百三十四首の「言問へよ」とも同じ語である。
 結句「いかが答へし」は、どのように答えたのか、の意である。過去の「し」で、昔の問いへの答えを尋ねる。都に住まない鳥に都の人の安否が分かるはずもないという理屈を差し向け、名高い古歌の問いに答えのないことを突いている。第九百八首が本歌の「ありや」を取って都の人の便りのなさを嘆いたのに対し、この歌は同じ本歌の問いそのものに問いを返している。

みやこどり:隅田川の古歌に詠まれた水鳥、都の名を負う鳥
こととふ:ものを尋ねる
作者
宜秋門院丹後
出典
新古今和歌集
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