これや見し昔住みけん跡ならん
蓬が露に月のかかれる
- 歌の意味
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これが、かつて見た、昔の人が住んでいた跡なのだろうか。生い茂る蓬の露に、月の光がかかっている。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1682
詞書は前の歌に続き「百首歌詠み侍りけるに」
荒れた故郷を詠む一連の三首目である。蓬の露に月がかかる荒れ地を見て、これがかつて見た昔の人の住んだ跡なのだろうかと詠む。詞書によれば、百首歌を詠んだ折の歌である。
作者の「西行法師」は、俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが、二十三歳で出家した。
初句「これや見し」は、これがかつて見た、の意である。「や」は疑問の係助詞である。
二句「昔住みけん」は、昔人が住んでいたであろう、の意である。「けん」は過去の推量を表す。
三句「跡ならん」は、跡なのだろうか、の意である。係助詞「や」を受けて「ん」の連体形で結ぶ係り結びで、ここで句が切れる三句切れとなる。
四句「蓬が露に」は、生い茂った蓬に置く露に、の意である。蓬は荒れた家の庭に茂る草として詠まれる。
結句「月のかかれる」は、月の光がかかっている、の意である。前歌の「月に残れる人の面影」を受け、人の跡をとどめない荒れ地に、月の光だけが変わらずかかるさまを描いて、荒れた故郷の一連を結ぶ。
よもぎ:荒れた庭に茂る草
あと:住居などの残った所
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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故郷は浅茅が末になり果てて 月に残れる人の面影
- 次の歌
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陰にとて立ち隠るれば唐衣 濡れぬ雨降る松の声かな